COBOL言語の「USE文」の使い方について理解しよう! | 用語辞典
COBOL(コボル)言語の予約語「USE」を使用した入出力エラー処理指定とは
COBOL(コボル)言語のUSE文とは?
COBOL言語のUSE文には、入出力処理でエラーが発生した場合に、プログラムが実行する処理を指定する機能があります。
COBOL言語のプログラムで入出力処理を行うと、予期しないエラーが発生することがあります。エラーが発生すると、システムが用意している標準的なエラー処理が行われますが、その多くはプログラムが異常終了したり、異常な動作を継続したりと、原因を突き止めるのに十分な情報を得られるものではありません。
しかし、USE文を使ってエラー発生時の処理を指定することにより、エラー情報の出力や、リカバリ処理などを行うことができます。
USE文の形式
USE文は、手続き部の宣言部分に記述します。
■書式
USE AFTER STANDARD 異常事象指定 PROCEDURE ON 適応対象.
■構文規則
<異常事象指定>
「EXCEPTION」または「ERROR」を記述します。「EXCEPTION」と「ERROR」は、どちらを記述しても同じ動作をしますので、どちらを記述してもかまいません。
<適応対象>
USE文で指定する手続き(命令群)を適用する動作、またはファイル名を記述します。
「INPUT」、「OUTPUT」、「O-I」、「ファイル名」のどれか1つを記述してください。
動作「INPUT」を記述すると、入力処理でエラーが発生した場合に、動作「OUTPUT」を記述すると出力処理でエラーが発生した場合に、動作「O-I」は入出力処理でエラーが発生した場合に、「ファイル名」は当該ファイルのアクセス処理全般でエラーが発生した場合に、USE文で指定した処理が行われます。
■使用例
USE文を使用して、ファイルアクセスエラー発生時の処理を行うプログラム例をご紹介します。
プログラム例は、コンソールからレコードキーの値を入力し、索引順編成ファイル「SHOHIN-INDX」の当該レコードを読み出し表示しています。
■索引順編成ファイル「SHOHIN-INDX」のレコード様式とレコード内容
索引順編成ファイル「SHOHIN-INDX」は、3桁の製品コード(キー)の昇順に並び、「A01」~「A05」までが登録されています。
3桁 |
10桁 |
4桁 |
レコード1:A01りんご 0300
レコード2:A02めろん 1000
レコード3:A03みかん 0200
レコード4:A04ばなな 0180
レコード5:A05いちご 0800
■実行結果
はじめに製品コードの入力を促すメッセージが表示されます。
存在する製品コード「A01」を入力してみます。
製品コード「A01」のレコード内容が表示され、プログラムが終了しました。
もう一度、プログラムを実行し、今度は存在しない製品コード「A00」を入力してみます。
USE文で指定したエラーメッセージが表示され、プログラムが終了しました。
USE文のCOBOL(コボル)言語における基本事項やルールについて
USE文は、手続き部の宣言部分の「DECLARATIVES」と「END-DECLARATIVES」の間に記述します。
USE文自身は、実行される命令文ではなく、USE文で指定した手続き(命令群)の実行条件を指定するものです。実行条件が満たされると、指定した手続き(命令群)が実行されたのち、プログラムの制御は、実行条件が発生した命令の直後に戻ります。
USE文で指定した手続き(命令群)は、システムが用意した標準のエラー処理のあとに実行されます。また、READ文などでINVALID KEY句などが指定されていると、当該事象以外のエラーが発生した場合に、USE文で指定した手続き(命令群)が実行されます。
COBOL(コボル)言語のUSE文を使うときの注意点
USE文を記述した節から、明示的に異なる節へ制御を移すことはできません。
例えば、「COBOL(コボル)言語のUSE文とは?」のプログラム例では、USE文で指定したエラー処理(エラーメッセージの表示)を行ったのち、プログラムを終了したいと思っても、57行目のEND-PROC(終了処理)にGO TOでジャンプすることはできません。USE文で指定したエラー処理の中でエラーフラグを立て、制御が戻った先でエラーフラグを確認するなどして、以後の動作を制御する必要があります。
USE文を使ったCOBOL(コボル)プログラムの活用方法
USE文で指定した手続き(命令群)を、USE文の実行条件が満たされたとき以外にも実行したい場合、PERFORM文でのみ実行することができます。
では、「COBOL(コボル)言語のUSE文とは?」でご紹介したプログラム例をベースに、ファイルのオープン時のエラーは致命的なエラーとしてプログラムを終了し、読み込みで該当キーなしの場合は、PERFORM文でエラー処理を行い、キーを再入力するプログラムを作成してみましょう。
「COBOL(コボル)言語のUSE文とは?」でご紹介したプログラム例からの変更箇所は、赤のマーカー部分です。マーキングをしていませんが、コンソールのメッセージ表示&入力処理と、ファイルのオープン処理の順番が入れ替わっていることにもご注意ください。
- ******************************************************************
- * Author:
- * Date:
- * Purpose:
- * Tectonics: cobc
- ******************************************************************
- IDENTIFICATION DIVISION.
- PROGRAM-ID. USE_SAMPLE2.
- ENVIRONMENT DIVISION.
- INPUT-OUTPUT SECTION.
- FILE-CONTROL.
- SELECT IN-FILE ASSIGN TO "SHOHIN-INDX"
- ACCESS MODE IS RANDOM
- ORGANIZATION IS INDEXED
- RECORD KEY IS IN-CODE.
- DATA DIVISION.
- FILE SECTION.
- FD IN-FILE.
- 01 IN-REC.
- 03 IN-CODE PIC X(03).
- 03 IN-HINMEI PIC X(10).
- 03 IN-KAKAKU PIC 9(04).
- WORKING-STORAGE SECTION.
- 01 WORKING-AREA.
- 03 CNSL-INPUT PIC X(03).
- 03 ERR-FLAG PIC 9(01).
- *-------------------------------------------
- * 主手続
- *-------------------------------------------
- PROCEDURE DIVISION.
- DECLARATIVES.
- ERROR-PROC SECTION.
- USE AFTER STANDARD ERROR PROCEDURE ON IN-FILE.
- MOVE 1 TO ERR-FLAG.
- DISPLAY "FILE ACCESS ERROR !!".
- END DECLARATIVES.
- MAIN SECTION.
- MAIN-PROCEDURE.
- * ファイルオープン
- OPEN INPUT IN-FILE.
- IF ERR-FLAG <> ZERO THEN
- GO TO END-PROC2
- END-IF.
- CONSOLE-INPUT-PROC.
- * メッセージ表示&入力
- MOVE SPACE TO CNSL-INPUT.
- MOVE ZERO TO ERR-FLAG.
- DISPLAY "製品コード(3桁)を入力してください".
- ACCEPT CNSL-INPUT FROM CONSOLE.
- * レコード読み出し&表示
- MOVE CNSL-INPUT TO IN-CODE.
- READ IN-FILE
- INVALID KEY
- PERFORM ERROR-PROC
- GO TO CONSOLE-INPUT-PROC
- END-READ.
- IF ERR-FLAG <> ZERO THEN
- GO TO END-PROC1
- END-IF.
- DISPLAY IN-REC.
- *終了処理
- END-PROC1.
- CLOSE IN-FILE.
- END-PROC2.
- STOP RUN.
- END PROGRAM USE_SAMPLE2.
■実行結果
はじめに索引順編成ファイル「SHOHIN-INDX」を「SHOHIN-INDX2」にリネームしておき、プログラムを実行します。
エラーメッセージが表示され、プログラムが終了しました。
次に、リネームしたファイル名を元の「SHOHIN-INDX」に戻して、プログラムを実行します。
製品コードの入力を促すメッセージが表示されましたので、存在しない製品コード「A00」を入力してみます。
エラーメッセージが表示され、再入力が促されました。
存在する製品コード「A01」を入力します。
製品コード「A01」のレコードが表示され、プログラムが終了しました。
USE文による、エラーハンドリング処理は、実務でもよく使用されるCOBOLプログラムの基本的なテクニックです。ぜひ、使い方を覚えておきましょう。
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