COBOL言語の「VARYING句」は便利?使用方法を学びましょう | 用語辞典

COBOL(コボル)言語の予約語VARYINGを使った繰り返しの制御とは

辞典・辞書-VARYING-イメージ

COBOL(コボル)言語のVARYING句とは?

VARYING(英語)は、日本語に訳すると「連続して変化する」という意味です。

COBOL(コボル)言語のVARYING句は、PERFORM文中の変動項目を連続して一定の値で変化させるために使用します。

VARYING句の形式

VARYING句は、直後に記述された変動項目(カウンタ)の値を、FROM句で指定された値から、BY句で指定された値分変動させます。

■書式

PERFORM VARYING カウンタ FROM 初期値 BY 変動値 UNTIL 条件式(論理式)

   命令群

END-PERFORM.

■構文規則

<カウンタ>

カウンタとして変化させる変動項目を記述します。

<初期値>

カウンタとして変化させる変動項目の初期値を整数値で記述します。

<変動値>

カウンタとして変化させる変動項目を変化させる値を整数値で記述します。

<論理式>

カウンタとして変化させる変動項目の変化させ続ける条件を論理式で記述します。

<命令群>

実行させる命令を記述します。命令は複数でも単数でもかまいません。

■使用例

実際にPERFORM文にVARYING句を使用したプログラム例をご紹介します。

サンプルプログラムは整数値の1から10までを加算し、結果をコンソールに表示するプログラムです。

サンプル1は、VARYING句を使わないPERFORM文、サンプル2はサンプル1のロジックを、VARYING句を使って記述しています。2つのサンプルを比べると、VARYING句によってプログラムがシンプルになったことがわかるでしょう。

【サンプル1】

辞典・辞書-VARYING-サンプル1

【サンプル1の実行結果】

辞典・辞書-VARYING-サンプル1の実行結果

【サンプル2】

辞典・辞書-VARYING-サンプル2

【サンプル2の実行結果】

辞典・辞書-VARYING-サンプル2の実行結果

VARYING句のCOBOL(コボル)言語における基本事項やルールについて

VARYING句は、PERFORM文に変動項目(カウンタ)を定義する予約語です。FROM句、BY句、UNTIL句と組み合わせることによって、カウンタの変動と繰り返しを継続する条件を制御します。VARYING句単体では使用できません。

VARYING句を指定したときの繰り返し条件になる論理式は、IF文の論理式に使用できる記号と演算子と同じです。では、使用できる論理式と演算子をご紹介します。

記号/
演算子

意味

論理式の例

論理式の意味

等しい

A = B

AとBが等しい場合、真

NOT =

等しくない

A NOT = B

AとBが異なる場合、真

>

より大きい

A > B

AがBより大きい場合、真

>=

以上

A >= B

AがBより大きい、または等しい場合、真

<

より小さい

A < B

AがBより小さい場合、真

<=

以下

A <= B

AがBより小さい、または等しい場合、真

AND

かつ

A = B AND C = D

両方が成り立つ場合、真

OR

または

A = B OR C = D

どちらかが成り立つ場合、真

NOT

否定

NOT A > B

「A > B」が成り立たない場合、真

論理式に使用する記号や演算子には、評価される順番があります。

記号である「=」、「NOT =」、「>」、「>=」、「<」、「<=」は、左から評価され、評価の優先順位を変える場合はカッコで括ると先に評価されます。また、記号は演算子である「AND」、「OR」、「NOT」よりも先に評価されます。

演算子である「AND」、「OR」、「NOT」も左から評価され、カッコで括ることによって先に評価させることができます。

COBOL(コボル)言語のVARYING句を使うときの注意点

VARYING句で指定したカウンタは、命令群で書かれた命令を実行したあとに変動することに注意して、FROM句で初期値を設定してください。

VARYING句を使ったCOBOL(コボル)プログラムの活用方法

PERFORM文には、繰り返す処理本体をEND-PERFORMまでの間に記述する内PERFORM文と、サブルーチンに記述する外PERFORM文がありますが、VARYING句は、どちらの場合にも指定することができます。

「COBOL(コボル)言語のVARYING句とは?」でご紹介したサンプル2は内PERFORM文でしたので、ここではサンプル2を外PERFORM文に変更して、VARYING句を使用してみましょう。

   
  1. ******************************************************************
  2. * Author:
  3. * Date:
  4. * Purpose:
  5. * Tectonics: cobc
  6. ******************************************************************
  7. IDENTIFICATION DIVISION.
  8. PROGRAM-ID. VARYING-SUMPLE3.
  9. DATA DIVISION.
  10. FILE SECTION.
  11. WORKING-STORAGE SECTION.
  12. 01 WORKING-AREA.
  13. * カウンタ&合計
  14. 03 CNT PIC 9(2).
  15. 03 KEKKA PIC 9(3).
  16. * コンソール表示バッファ
  17. 03 DSP_BUF PIC X(64).
  18.  
  19. *-------------------------------------------
  20. * 主手続
  21. *-------------------------------------------
  22. PROCEDURE DIVISION.
  23. MAIN-PROCEDURE.
  24. * 合計エリアの初期化
  25. MOVE 0 TO KEKKA.
  26.  
  27. * 1から10までを加算
  28. PERFORM CALC-PROC VARYING CNT FROM 1 BY 1 UNTIL CNT > 10.
  29.  
  30. * 計算結果の表示
  31. STRING "計算結果は「" KEKKA "」です。"
  32. DELIMITED BY SPACE
  33. INTO DSP_BUF.
  34. DISPLAY DSP_BUF.
  35.  
  36. STOP RUN.
  37.  
  38. *-------------------------------------------
  39. * 計算処理
  40. *-------------------------------------------
  41. CALC-PROC.
  42. COMPUTE KEKKA = KEKKA + CNT.
  43. EXIT.
  44.  
  45. END PROGRAM VARYING-SUMPLE3.

■実行結果

辞典・辞書-VARYING-実行結果

繰り返したい命令が何ステップにもなる場合、サブルーチンにまとめ、外PERFORM文にVARYING句でカウンタを指定するとプログラムがシンプルに構造化されます。COBOLプログラミングの基本は構造化プログラミングですので、ぜひVARYING句の使い方をマスターしてくださいね。

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